![]() 命の水(後編) 2005.1.21 |
焼酎の原料には米、麦、芋、黒糖のほか牛乳、シソ、胡麻、昆布などの変り種もあり、それぞれが大地や海の恵の香りを存分に醸し出している。 焼酎の楽しいのはネーミングと独特なボトルの色やスタイルにもある。 ただ、蔵元のどこも小規模で生産量が少ないため、人気がでるとすぐプレミアがついて幻と化してしまい、入手が困難になることは残念なことだ。 必然的にネット購入を余儀なくされるが、残り1本などと表示されるとついつい買い物かごへ入れてしまうのである。 私の一番のお気に入りは鹿児島西酒造の「天使の誘惑」。 これも一頃はお店でも気軽に飲めたものだが、幻の酒のWebサイトでも品切れするほどの人気である。優雅なひと時、愛しむように誘惑に酔いしれたいものだ。 麦なら「中々」ラベルもよい。 「百年の孤独」は味わったことがないが、その原酒としても知られている。 米焼酎「野うさぎのはしり」は『不思議の国のアリス』を案内したうさぎがモデル。 これもかなりのプレミアがついてしまった。 鳥飼の「吟香」は爽やかな芳香でフルーティー。 芋焼酎の「 同じく芋の「カナブン」。超低空で飛ぶ子供達のアイドル「カナブン」のラベルに託したストーリーが大人の哀愁を誘う。 最近は泡盛にも注目している。 泡盛はタイ米と黒麹で造られ独特の香りと風味が魅力。 もちろんクースーはよいが、新酒もフレッシュで日常の晩酌向きである。 今は「 最後に与那国だけで造られる泡盛の原酒「花酒」をご紹介しておこう。 名前も与那国を表す「南どなん」“クバ”の葉で包まれたボトルから注がれる60度のお酒は、氷や水を入れると白濁し、花のような泡と芳醇な香りが立ち込め、痺れるようなキレと旨味の絶品である。 与那国では冠婚葬祭の時に80度近い花酒を使う慣わしがあったという。 特別の日や悲しい時、嬉しい時、辛い時、お酒は常に人と共にあった。 良いこと尽くめの焼酎であるが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。 ちなみに適量を本格的焼酎に換算すると120mlと言われている。 一合にも満たないのは寂しい限りであるが、「百薬の長」にするも害にするも自分次第。 お飲みにならない方には申し訳ないが、適量のお酒でリラックスし、身も心も癒されるなら、まさに「命の水」となることだろう。 しかしながら、「天使の誘惑」にも負けぬ強い意志が必要ではある。 五臓六腑に染み渡る前に、肝に銘じておこう! <参考文献>『仏像の誕生』高田修著(岩波新書) 『京都の儀式作法書』岩上力著(光村推古書院) 『本格焼酎を極める』橋口孝司監修(青春出版社) |
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