法衣の色
鈍色
にびいろ

薄墨染に青花(露草)を混ぜたような青みの灰色のこと。
古来より喪服に用いられた凶色。
「源氏物語」で正妻である葵の上が亡くなった時も、光源氏は七七日の間鈍色(にびいろ)の袍を着て死を悼んでいる。

 

  鈍色(にびいろ)(色の名)と鈍色(どんじき)(法衣の名)の違い
鈍色に五条袈裟
少々難解な話だが、同じ字を書いて全く意味の異なる言葉である。
鈍色
(にびいろ)は色のこと。

鈍色(どんじき)は白の法服(袍裳)のこと。
鈍は純の意、まじりけのない色。つまり白の法服のこと。
純色(どんじき)と呼ぶべきところが、仏教本来の壊色にふさわしい鈍(にび・にぶ)の文字を通用して鈍色(どんじき)と記されたものである。
仏教が神道と融合するために、このようなことが生じたと思われる。

   右写真   紋白五条袈裟、鈍色(白色無紋単仕立ての袍と裳)
法服の袍
法服の裳
鳥獣戯画
                 鳥羽僧正「鳥獣戯画」蛙供養の僧
導師の僧は法服、七条袈裟、横被(おうひ)を着用
従僧は鈍色、五条袈裟着用
共に僧綱(そうごう)という方立(ほうた)て襟を立てている。

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