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帽子の話 五条袈裟
伊達正宗ゆかりの人々に見る法衣の形(臨済宗)
臨在宗九条袈裟

松島瑞巌寺(臨済宗妙心寺派)
中興開山  雲居希膺(うんごきよう)
九条袈裟(くじょうげさ)(大衣)
坐具を左腕の袈裟の上に携行し
ている。
坐具とは礼拝の時、床に敷いて
用いるものであり、インドにおけ
る用途と同じである。
宋代の禅が、釈尊の仏教に戻ろ
うとした精神において坐具を用い
たものが北伝仏教として日本に
伝えられたもの。
日本の仏教で坐具を用いるのは
禅宗(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)
と禅衣の系統の法衣を用いる現在
の時宗だけである。
大袈裟(おおげさ)
正式の道具衣(坐具を用いる袈
裟)は大衣、つまり二十五条ない
し九条袈裟である。
特に臨在宗ではその幅が広く、長
さも長大な「大袈裟」を用いている。
今日「大袈裟な」という表現はこの
必要以上に大きな袈裟から生まれた。
七条袈裟または衲衣


七条袈裟(しちじょうげさ)または衲衣(のうえ)(中衣)
天麟院(伊達正宗、田村氏夫妻の長女)
幼名 五郎八(いろは)姫
五条袈裟絡子形式

五条袈裟(ごじょうげさ)(小衣)
陽徳院(伊達正宗正室)
福島県三春田村氏嫡女

  インドで生まれた三衣(長方形の三枚の布)は、北伝仏教と共に長い旅をしながら、日本に辿り着いた。
大陸の影響を色濃く留めながら、日本の気候風土や思想を反映して新たな法衣として生まれ変わっていくが、平安時代からほとんど形状を変えないものもある。
現在の法衣の形は、鎌倉時代の禅衣の流行によって確立されたといっても過言ではない。

大衣、中衣は荘厳される袈裟となり、小衣は簡易化する袈裟となって象られることになる。
前者は儀式としての尊厳をもたらす為、デザイン化や文様化という形で美化され、金襴を用いながら匠の手になる立派な袈裟となる。一方後者は着装の平易さから形状を変えていく。

  形状、教義、目的によって、法衣は下記のように分類される。
形状による分類
種類 サンスクリット語音写 条の数(裁断して価値をなくし、つなぎ合わせた縦の線)
大 衣 僧伽梨(さんがり) 九、十一、十三、十五、十七、十九、二十五条
中 衣 鬱多羅僧(うったらそう) 七条
小 衣 安陀衣(あんだえ) 五条
教義上の分類
種類 時代と宗派 特徴的な法衣
律 衣 南都六宗時代に見られ、戒律に従った壊色の僧衣 如法衣(にょほうえ)褊衫(へんざん)
教 衣 天台・真言の平安期に発展した教団の僧衣 素絹(そけん)横五条(よこごじょう)
禅 衣 鎌倉時代に新たに渡来した禅僧の僧衣 絡子(らくす)直綴(じきとつ)
目的別分類
種類 目   的
律 衣 自ら僧として修行をし、戒律を守る為に着けるもの。
衣の色は壊色(不正色)である。
官 衣 国家の司祭としての行事に従う為の服。正色に基づく色の衣。
教衣の流れをくむものと、禅衣の系統のものあり。
禅が他宗派にもたらした法衣の形

  1. ぼうし型の帽子(もうす)
  2. 絡子(らくす)形式の五条袈裟
  3. 直綴(じきとつ)という改良法衣
  4. 金襴(きんらん)の衣
  5. 坐具を用いる大衣
 ※直綴は褊衫(へんざん)と裙子(くんず)が腰のところで縫い合わされている衣
 ※坐具は禅宗以外では時宗のみ用いる

坐具の使い方(坐具を敷き礼拝する僧)

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