法衣の形五条袈裟2
横五条形式

横五条
  横五条袈裟は、教衣の一つで日本独自のもの。  教衣である天台宗、真言宗、教衣の形を頑なまでに貫く浄土真宗、衣には拘らないが、初期には天台宗の影響が強かった日蓮宗、教衣の面影を大師五條に留めた浄土宗などで用いられる。
最も古のものは純白の平袈裟であり、後に紋白袈裟となり、禅衣の影響で金襴になったりしながら、千年以上の時を経て、今なお往時の形を留めている。
  現在の浄土宗は禅衣を主としていて用いているにも拘わらず、平安朝的な横五条を着用している弁明として、法然上人(円光大師)が用いられていた形という意味で大師五条と称するものである。

  一方禅衣の絡子を小型化し、大師五条より略となる威儀細を着用する。
横五条形式の威儀というくけ紐を細くしたものという解釈が生まれるが、従来の威儀細の紐が絡子と同様の幅、あるいはそれ以上のものであったことから推して、威儀が細くなる「略」という意味が強かったものと思われる。
  三本の威儀という紐で結びたれているので三緒袈裟(みつおげさ)の名前がある。  台密(天台宗)特有の袈裟(密法の時用いる)
門跡寺院へ勅許されたもの。  曼珠院流と青蓮院流とがあり、
室町時代には使用されていた史実が残っている。

  真言宗でも五条を長くたれて着装している。この三緒袈裟も同様にだらしなく着装されているような印象を受けるが、これは三輪(陰部)を覆っているのである。    
  五条袈裟が本来「裙(くん)」(すそにつける三衣の一つ)であったことから、掛絡も横五条も長く垂れ下がるのが本義であったようだ。
仏の32相(超人的な人格を支える肉体的条件)の中に「馬陰蔵相」(陰相、男根が体内に蔵されている)というものがあるが、生身の人間はそういう訳にいかぬので、上記のような着装法が考えられたのかもしれない。


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