法具や法衣に興味があると言うと、いわゆる「オタク」扱いをされます。 そもそも、私が某葬儀社に勤めておりました頃、必要性に駆られて勉強しましたものが今のライフワークの発端でございます。 それがなかなか奥が深い!好奇心旺盛な私の心に火をつけてしまったのです。 仕事柄、徳の高い宗教者とお話しする機会に恵まれましたことも、幸甚なことと回顧しております。 はるかに仏教の歴史を紐解けば、発祥の地は今から2500〜2600年前のインド。 現在では威儀を正すための法具も実際には、蝿や蚊を追ったりする道具であった訳です。 法衣も田んぼをイメージした田相衣(でんそうえ)や捨てられたボロ布を縫い合わた糞掃衣(ふんぞうえ)が本来の姿であったと伝えられています。 それが、仏教の伝来と布教と言うプロセスの中で、また伝えられた国と受け入れられた民族によって、人間の英知と匠達の技を極めた美術工芸品にまで高められていくことに、大変興味を惹かれました。 そうして荘厳されていく法衣や法具は、単に仏教の権威の象徴と言うことではなく、むしろ多くの職人の掌から生まれた庶民の純粋な信仰の産物であり、今と言う時代を生きる我々に委ねられた大切な遺産であるように思えてなりません。 このホームページを通して、関係各位のご感想やご指摘などお寄せいただきましたら幸いに存じます。 それと同時に一人でも多くの方にこの遺産の素晴らしさをご理解いただき、現代の葬送文化や、能などの伝承文化の中に、また「孫の手」のように意外にも身近なところに脈々と生き続けていることを感じていただければ、これに過ぎる喜びはございません。 |