鳴物としての法具
京都の寺町に在する浄土宗のお寺で、あるご葬儀が営まれた時のことである。 先導する副導師の笙の音に清められながら、導師が入堂されたという記憶がある。 柄香炉の香に清められる光景は珍しくないが、この笙の音色は何とも美しく荘厳な雰囲気を醸し出していた。 ふと、“南無不可思議光”という文字とともに、阿弥陀来迎図が眼前に現われ、身も心も浄化されるような体験を得た。 |
木魚
(もくぎょ)
ぎょりん
経を読経するときに打つ法具。多くは(ほう)または桑の木が用いられる。
円形で横に穴を通して中空とし、表面に玉鱗、一身二頭の龍頭を彫る。
魚は昼夜常に醒む。
つまり不眠不休と言う意味があり、小ふとんの上に置き先端に布を巻いた杖(撥)で打つ。
中国、朝鮮では握り手のついた小振りの木魚を鈴(ベル型のレイ)と共に用いる木柾
(もくしょう)日蓮宗独特のもの。読経、唱題の時に拍子をとるために使う。
円形が多く音が響くように、中がくり抜いてある。
手を振り上げず、手首で打つ。鈴
(リン・キン・
レイ)読経の始めと読経の区切りに使う、直径10cm程度の銅製の小鉢形の鳴物鈴には鈴台と鈴棒がつく。
鈴棒のことは撞木(しゅもく)とも呼ぶ。磬
(けい)経、梵唄、修法の時に用いる、もと中国の古い楽器の一種。
普通仏堂内において、導師の右脇に置かれ、磬架に懸けて打ち鳴らす。
石、玉製もあるが、銅、鉄の金属製が多い。
蝶形、雲形、蓮華形のものがある。磬子
(けいす)きんすとも呼ぶ。禅宗特有の法具。梵音具の一つ。
形状は鉢形で、五升を受くるほどの大きさ。
一般に大鈴のこと。
(いんきん)持ち歩きの出来る小さなお鈴。
鉦鼓
(しょうこ)鉦(かね)とも言う。もと雅楽に用いられた楽器であると言われている。
材は青銅鋳物。
側面は素面で二つの耳をかけ、架に吊るす穴をあけている。
浄土宗家が好んで用いた。
また一遍上人が首から懸ける架につけて、踊念仏の拍子に合わせ、槌で打ち鳴らしたものでもある。伏鉦
(ふせがね)敲鉦(たたきがね)とも言う。鉦鼓の凹の縁に三本の足をつけたもの。
下に置いて撞木でたたき、読経の調子を整えるのに用いる。
鉦鼓から転化したことの証として、懸垂必要がないのに「耳」をつけているものがある